ハカランダのL-6 ていっても側板 2021/10/27 byとらやまねこ

 好きな前期型L-6についてのお話である。[世の中にはL-6のファンの人も多いと思うが、私の経験談である] L-5についての話はこちら
ご存じの通り、1976年から79年までに製造されたL-6を前期型という。75年製造の個体はあるのかもしれないがごく僅かだと思う。見たことはない。というのは75年の年末に発表されたLシリーズだからと考える。
また1977年には仕様変更があり、それ以前を前期型の前期型、それから後は前期型の後期型と私は区分けしている。ただ大きな差違はなくパーフリングの違いや僅かなサウンドホールの位置の差程度。[+ 側板の高さが5mm高くなった?記憶が曖昧]
いままでの人生で実物を見たり弾いたりしたL-6個体数は10程度だから、何百見たわけではなく、これからの話にはかたよりもあると思う。 上はハカ側板、下が普通のL−6
 前期型の仕様は裏板がパリサンドル(インドローズ)単板、側板はパリサンドル合板である。
76年のカタログには側板も単板と明記されていて(78年カタログでは側板合板)、L-6都市伝説となっている事は有名で、私も以前書いたが、単板と見まごう側板に出くわした経験はある。ただよく見ると微妙に木目模様にずれがあった(ので購入しなかった)。76年製か77年製の記憶がある。総単板のL-6は存在しないというのが私の今のところの主張だが、そんな夢の個体は存在するかもしれない、もしもそんな個体を手に入れたら報告したいものだ。無いだろうとする根拠はそれでは販売戦略上のL-6とL-8のグレイド差がつけられない事から推測できる。単なる誤植か?或いは割れ止めがないことを指摘する人もいる。
以前、確認の仕方は穴を開け断面を出すことと言ったが、エンドピンの穴の断面で確認できることに気づいた。最近のこと。
観察結果は、定石通りおおよそ2.5mm厚の合板と予測、大雑羽には表裏各0.4〜0.5mm厚程のバリサンドルが張られていると予測され、心材は白い材である。メープルか何かっぽいが材質は不明である。パーフリング(1.3mm厚ほど)の下に見える。ちなみに裏板が単板であるのは確実で、79年製ので確認したことがある。
 ただ非破壊的な確認法はやはり音で判断すべきであろう。側板合板、側板単板の音の差には影響がないという人もいるようだが、そんなことはないと思っている。かなり違う。
おおかたの側板表は綺麗な柾目のバリサンドルであるが、内部から覗くと年代により差がある。77年製頃までは表も裏も差がない綺麗な柾目だが、79年製だと内側は板目に近い材が使われてる。
 上は普通のL−6、下がハカ側板
本題にはいるが、最近入手した78年製、シリアルは消えかかっていて間違えているかもしれないが81103かと読める。
前期型の後期型仕様である。
来たときに先ず感じたことはハカっぽい香りがぷんぷんするのである。以前持っていたL-10の側板ハカの香りに近い。
しかしその時点ではL-6側板はパリサンドル合板の頭しかないから、強いローズの香りと思っていた。
次に弦を張って弾いてみると、何だかおかしい音だ。L-6の音ではない、ローズの音ではない、1弦2弦の金属音と、低音はエッジが立ったズドンっぽい音がする。それこそ煌びやかな音。
ただこの時点でも表板は年輪がはっきりしたエゾマツだったので、その為だと思ってた。
 数日後、側板をよく観察するとバリサンドルに比べ赤みが強い、ただ柾目なのでローズっぽくも感じるが、木目はよくヘッドに張られたハカに近い気がする。
知り合いのエレキギター弾きが来たので、入手したばかりのギターだと、調弦して、Eをジャラーと弾くと、知り合いはびっくりした。低音のでかた、高音の音に「今までアコギを馬鹿にしていたが、考えを改めた」と。まあ本人まともなアコギを聴いたり弾いたした経験がないと私は思ったが。
私もその時点で側板はハカではないか疑い始めたので、1弦から4弦でのアルペジオを弾くと、やはりハカの音だ。
それもハカかニューハカ合板のL-5の音とは大きく隔たり(そりゃ合板ギターだし)、ハカ単板のギターに近い。だけど裏板はローズ、側板は合板だけど。側板は音に影響するのか?と。ただしハカ総単板やハカ裏板単板の音ではないが、近い気がする。何か奇妙なL-6。
まあとりあえず来たことを神に感謝する。
 上は普通のL−6、下がハカ側板
なぜそんなことになったのか推測するのも楽しい。
当時ハカ合板側板が張られたモデルは、運の良い極少ない感じがするがL-5かL-5E。しかし前期型ではパリサンドル合板側板のL-5は見たことはない。しかし内張には見たことがある。
ということは前期型の頃、製品管理上L-5とL-6の側板材質の区別は間違いないレベルであった筈だ。しかし極々希にあったのだろうか。(ただ高さが違うので区別されていただろう)
後は単純に、柾目のハカとパリサンドルを間違えてしまった。そんな幸運な職人さんが居た。合板になっても多分ニス塗り以前の工程で、生地のみではハカもパリサンドルも区別は付きづらかった?
次に着色から考えると、L-6の裏板、側板外張りともされていることがあったように思える。勿論材によっては不要な事もあるだろう。前期型の終わり頃にはかなり白っぽいバリサンドルも使われるから、着色されていただろう。しかしこの個体に関しては側板外張りに着色はされていないように見受けられる。塗装するまで気づかなかったか?気付いたときには遅すぎたのだろうか。
見た目に近い写真

その後の話 と 雑談 2025/03/12
 このL-6、入手後もう4年近くも経過したが、当時問題点はあって、腹が出ているようで、ブリッジで低くしてもようやく6弦で3.5mmだった。
現在L-6は3本持っているが、77年製(前期型の後期型、いわゆる仕様変更後の)もやはり同様である。前オーナーの不適切な管理かもしれないか?表板の問題なのか?ただネックは僅かに波があるのは同じである。(またどうもネックのセットが少しぶれている?)
79年製のは問題はない、これは永い相棒で、ほとんど弾かれていないケースに仕舞い込まれた状態で入手して、まだ作ったばかりの木の香りがするくらいだった。
最初は高音が出ないで、何とか材を枯らしたんだろうか、平均的には出るようになり、そのせいか中域がかなり太い、また柔らかい音がするのは表板の年輪がかなり詰まっているからだろう。随分前にフレットも交換している。ギター弾きのI氏によると「僕の28より音とが良い」とのことである。
音はYOUTUBEに上げた作品のすべてでこいつを使っているので、聴きたい人はtigermoubtaincatで検索するとひっかかる。
ついでに言い訳がましいが、とらやまねこはギター弾きではない、ベース弾きかと云われれば大学からベースは弾いている(最初は先輩のビートルズコピーバンドの助っ人だったので、ポールの優れたベースラインを学んだ)。ただ本命はジョンウェットンのすばらしいベースに感動して、そんな風に弾きたいと思っていたのはずっーと変わらないが、彼のように根っからのベース弾きでもなさそうで(おまえはレイク並か?)、今ではDTMで音符を書き入れるだけのベース弾きなので、年に一度もプレシジョンを弾くこともない。要はギターもベースもへたくそである。フォーク全盛時代には子供過ぎて、高校には入っていきなりエレキ、レスポールからで、多くはS君という同級生が教えてくれた程度、主にサイドギター、まじめにギターを習ったことなどない、その後はギター弾きの源ちゃんとかジャズプロのMさんに教えてもらった。Mさんには正しい弦の押さえ方を教えていただいた。彼はロバートフリップのピッキングを褒めていた。
何で年取ってアコギを弾くことになったかといえば、バンドが出来なかったこと、伴奏楽器となり得るのは一般にはピアノかギター、キーボードでも良いかもしれないが、鍵盤は弾けないから、残りはギター。  DTMもあったね。

さて以前もう一本79年製を持っていたが、やはり構造的な問題はなかった。
偶然かも知れないが、音は別として79年製は出来がよいと思っている。以前76年製のは何本か持っていたがあまりおもしろい音ではなかった記憶で、やはり79年製の方が造りがよいように感じる。

さてそんなことで、2本ともブリッジに重しを載せてほっておいた。あまり効果はなかったようだが・・・
気がつくと4年近くも経過していたことになる。久しぶりにロッドを点検しようと2本とも弾くこととなった。このことは4年間もアコギを弾いていなかったことも語る。確かに指先は一般人状態だ。

ハカランダ側板の78年製のは、久しぶりに弾くとそうバランスが悪い感じはない。1.2弦の金属音と低音のドスン感は和らぎ、これは弦が劣化した為だろう。
アルペジオやコート弾きの際には、パリサンドルとは異なる残響音がありなかなか心地よい。
が、やはりL-6の音ではない気がする。
77年製(写真では上側の個体)は、表板の年輪の詰まりが狭すぎるくらいで、またその色も濃いからかもしれないが、高音がかなり出て、賑やか、強めのきらびやかな音である。高音が出るパリサンドルの音であり、下も十分出る。難点は6弦が4フレまでひびりやすい。やはりネックにはいくらか問題がある。
77年製詰まりすぎで上級規格からすると規格外?音は問題なしだが
78年製ハカ側板は年輪が開きすぎ、だだバイオリンもそうだけど、だから悪いということない。
上級モデルの規格落ちの材を使ったのか?そのせいかL-6は個体差による音のばらつきが大きかったと思う。
不思議とL-5に関しては、どんなやつでもそれなりに鳴ってくれた記憶がある。
表板の枯れ具合にばらつきがあったのだろうか?傾向として最初は良く鳴らない、枯れてくると鳴るようになる。伸び代には個体差あり。


録音にはローズ?ハカ? ライブには?
 録音には79年製のL-6を専ら使ったことは述べたが、そういえばハカランダはどうか?と録音比較したことがある。
L-10だったか若しかしてL-5だったかの記憶は曖昧なのだが。

一般にはローズの方がマイク乗りは良いと云われているが、将にその通りで、ハカは高音の歪み感、というかギラギラ感があり、多分かなり高級なコンデンサーマイクとかなり音質の良い録音系なら別なのかも知れないが、確かにそんな結果だった記憶がある。
マイク乗りといえば、一番はメイプルといわれているが、グレックレイクがライブにてアルペジオで「Still You Turn Me On」を弾いているが素晴らしい演奏に感心した。レイクはアコギが上手だから、声も若い頃は何ともいえないアルトっぽい魅力のある素敵な声。以前、Kヤイリの合板メイプルギターを持っていた。特色のない音なのだけど中庸って感じかな?

PAがないライブでハカを使ったことはないのだが、音の飛びはハカの方がよいと感じることがあった、L-5だから正確にはホンジョラスかハカだが、レストランでなんかの集まりで、調弦後にじゃらーんと弾くとかなり離れた席の人たちがこっちを振り向いたことがあった。恥ずかしかったので演奏はしなかったが、10m以上はあったと思う。合板でもその質タチはあるのだ。
側板ハカのL-6だとどうだろうかねえ。

マホはしょぼいか?
 これも余計なことだが記憶が薄れるまえにと、以前フェンダーのSAC-06とかモデルナンバーの総単板マホガニーを持っていた。最初はマホガニーのシャキシャキした、初夏の新緑のような音に感動はしたが、そのうち飽きてきた。その次にヤマハのFG-400Mを手に入れた。これはネックがナトー、側板は合板であった。安いモデルながら作りは良く、音はまさに優等生、涼しい顔の美人さん。ある意味欠点のない清爽な音であった。
やはりそれもそのうち飽きてしまった。マホガニーのファンの人もいるだろうが、最安値、総合板のFG-151は何か良かった記憶もある。