by とらやまねこ

緒言(全国的には)
 首都圏とも云われることのあるここ山梨県では民放が2つしか見ることができない。
この事情については、
「【地デジ】山梨県は、なんと!いまどき地デジが4局しか映らないエリアだった! - 日々平穏」
というお題にて、東京出身の管理人氏が詳細に、お調べになり論じ、また話されている。また寄せられたコメントも併せて絶品であると思う。
ここで感謝申し上げる次第です。
結論は、山梨県民はケーブルテレビに加入しなければ首都圏民放キー局は観られないという悲しい現実がある。(ひかりTVでも山梨だけダメ、今時?)
私も30年前に東京から、こちらに移り住んだ者なのでその不条理な気持ちは大変わかるのだ。(国民の権利だろ 追記:放送法では、これは間違いなさそうである。 参考資料、「放送法制における区域外再放送の位置づけ」西土彰一郎氏 36〜37p 39p
或いは、山梨のみ物理チャンネルの割り当てがおかしい事、関東の他の県や長野、静岡の親局ではスカイツリー(関東広域圏親局)からの物理チャンネルに被らないようになっているが、後述するが山梨親局と中継局は、民放在京波6波(MXを含め)のうち4波が被るようになっている。

また
「電波シミュレーション」のブログ記事一覧(8ページ目)-ジュリエットオスカー634受信ブログ
「地デジカ」kirikinのブログ | KNIGHT RIDER - みんカラ

上記2氏のブログは大変参考にさせて頂いたことを御礼申し上げる。

 VHF時代にはマスプロの甲府地域用ブースターを使っていた経験もあり、おくればせだがUHF時代になりチャレンジすることにした。
もとは低周波AFの人でRFの人ではないから、とんでもない間違いなど多発するかもしれないが、ご容赦頂きたい。情報リテラシーは低い。
勝手ながらご意見も無用であり、記事の内容に責任は持たないので、ご理解頂きたいが、このようなことに関心がある諸氏のご参考となれば幸いである。
ぼちぼち続けたいと思っているのでおつきあいください。しかし悲しいかな屋根に登るのも注意を要する歳になってしまった。
 -常時更新なので、最新版は一番後にあります-

第1回受信報告 2022/07/25

アンテナから受信機までのブロックダイアグラム

受信点は韮崎市龍岡町の坂の上地区で、甲府盆地の西に位置し、東となる盆地方面への見通しは良い。西には旭山、甘利山が間近にあり、閉じているが、南は富士山や身延、静岡方面に開けている。
標高は363m、屋根にアンテナを立てれば370m位になるかという立地(ロケーション)である。
テレビは東芝(32S5 2012年製)とシャープ(LC-19K5)である。受信レベルの数値はシャープの方が高めの数字だが、実際の復調できる受信感度には大きな差はないように感じる。
というのは、シャープでは映るのが東芝では映らないということはない。午前中の受信。
東芝ディグザ画面、物理チャンネル24 テレビ朝日
物理チャンネル18 テレビ神奈川
物理チャンネル22 TBS
物理チャンネル16 東京MX
物理チャンネル30 千葉テレビ(ただし屋根)
受信に成功したのはテレビ朝日とTVKだけだったが、アンテナは屋根では無理 }} で、ベランダだ、またTVK受信は予想外だったが、その原因はこれから考察する。

スピルオーバー潰しは坊ヶ峯だけではなかった**

東京 スカイツリー 関東広域圏親局 赤は坊ヶ峯送信所に被られ局

NHK総合       

27ch

NHK教育

26ch

日本テレビ

25ch

テレビ朝日

24ch

TBS

22ch

テレビ東京

23ch

フジテレビ

21ch

東京MX

16ch

山梨 坊ヶ峯送信所 身延は東京に被り局

NHK総合甲府

系列

21ch

身延26ch 5w穴山40 市川40

NHK教育甲府

23ch

身延28ch   穴山52 市川42

山梨放送

TBS

25ch

身延22ch   穴山39 市川51

テレビ山梨

日本テレビ

27ch

身延24ch   穴山42 市川48

上記表の如く、スカイツリーからの電波は物理チャンネル23chと21chと25chと27chが県内局に潰されるという話は聞いていたが、実はそれだけではなく、うちのロケーションでは身延の22chと24chにも潰されるかと懸念していた。
というのは身延中継局は身延山山頂1152mにあるので受信点までは見通しが利くのだ。直接波5W(ERP8.9W)は侮れない。
身延局へは水平面ほぼ90°で(間違いのないヌルポイント)指向性の高いアンテナでも副ロープに掛かるのだろう。
 アンテナを屋根に載せると、東京MXと千葉テレビのレベルは上がるが、テレビ朝日とTBSのレベルは下がるのだ。NHKは坊ヶ峯から身延26chに入れ替わることもある。
というわけで予測していた混信なのか?幸い自宅の南側には二階家があり、遮蔽してくれる。こちらとしては身延局潰しだ。それでも被らない身延局28chのレベルは12ある。
だが、そのスイートスポット探しが難しい。ベランダの開けた東に出せば混信?ひっこめれば全局レベル低下?。上げれば混信?下げれば県内1局がレベル低下?
やっていることは将に「無線と実験」といってもいいだろう、しかしごく個別的な受信のみで一般則とは言い難い。
坊ヶ峯は2kw(何で狭い盆地相手にそんなにあるのか、せいぜい100〜500Wでいいだろう)で強大だが、これも潰せばれば夢は叶うのだろうか。次は一般則の話。
追伸) 身延局の盆地へのスピルオーバーを調べてみた。身延局からの見通し線を自宅より東方向へとると、県庁までは見通しが利くようだ、金手駅以東のラインは後述の山が遮る。
南は東花輪付近で手前の四尾連湖北方付近の山陰に入る。結果的に盆地の広範囲が身延局の電波により混信を強いられているようだ。
※といっても実際には、我が家同様、スカイツリーにアンテナを向ければ、身延山の方角は坊ヶ峯よりさらに感度の低い副ローブかヌルポイントにかかることにはなる。

シャープだと、潰されている筈のテレビ東京がエントリーするが受信は不可。被るNHK教育甲府の電波が強い。シャープでは60以上が推奨値、8/8朝。型番はLC-19K5

山岳回析と遮蔽損失

次はスカイツリーからの見通し線を国土地理院の地図から得た断面図に書いた図である。

回析ポイント(勝手な造語です、リッジというべきか)は大菩薩の稜線、黒岳北方約500m地点である。H(高さ)は1500mもあるから遮蔽損失は-38dB(at 500MHz)ほど。
ナイフエッジに近い地形と推測される大菩薩の稜線は北は大菩薩嶺から南は笹子の方向へ南北に走り、グーグルマップの画像からは樹林帯、ガレ場や草原と考えられる。
甲府盆地の西や南方面からも北東方向の奥に良く望める。
図中、次の108km付近の山は、石和駅北方にある山並みで水ヶ森、奥秩父方面に連なる山塊のうちの一つのピークである。受信点からは手前にこの山、その奥に大菩薩の稜線を望める。見通しは利くということ。またそこにフレネル帯が掛かりそうではある[H=-80m 試算すると+1.2dB]。
先のジュリエットオスカー氏のブログの「RadioMobile」によるシミュレーション結果ではここ受信点も含まれる甲府盆地全体は水色だから14dBμV/m以下の電界強度と予測される。
14dBμV/m以下ならまあ無理なので、あまり期待はしていなかった。
シグナルレベルメーターは持っていないので、数値で示せないのは申し訳ない、シュミレーション結果は大変参考にはなるが、実際はまた異なるのだろうか?14でも受信したのだろうか?。ただ、「RadioMobile」のシミュレーションは山岳回析をうまくあらわせない?との主旨のブログを拝見したこともある。
またアンテナの指向性が鋭いのも理由だろうが、見通し線に合わせることは必須で、特に受信レベルがギリギリのテレビ朝日では数度外れても駄目なようだ。
[一方、伝播における位相損失は考慮せず、直接波の自由空間電界強度値E0を求めて、回析損失38dBを引く試算では  d=122000m P=70000w 受信点での電界強度は46dBμV/mとなるが、スカイツリーのアンテナは俯角2°ほどにて電波工学的にチルトされているから(0°で-3dBとして)上向き分はより少ないと推測される。よって-3dBで43dBμV/mとなり、割合説得力のある値となる。
なお東京MXでは同様の試算にて、P=11500w、回析損失-37.6dB、38dBμV/mとなる。俯角は考慮せず。

この式は、{受信サービス株式会社Shu-chan の放送ネットワーク道しるべNo28
<テレビ放送波の電界強度(電波の強さ)の求め方>
よりの引用であるが、υ(クリアランス係数)を出してからの式より運用が簡素で結果もそう違わないので使っている。(計算しやすいように変形してある、あと単位系はSIである) 
遮蔽率は、波長λの逆数の平方根に比例するということは、周波数の平方根に比例することになり、VHF時代よりは損失が多くなる。また肝要なことは高さHに比例することであろう。
高さHが0mにて-6dBの損失だが、この式では成り立たないのでご用心を。。


TVKはどこから来るの?怪

次の「怪」はテレビ神奈川で、受信レベルは常に55以上で安定受信している。さながら甲府盆地に中継局があるような感じだ。
物理チャンネルは18で、予想される送信場所は相模湖1W?相模原(小仏城山)3Wは33chなので違う、あるいは鶴見1kW?まあ鶴見三ツ池でしょうか?
アンテナを南に振るとレベルが上がるから、スカイツリーよりは南方にあるのだろう。

鶴見送信所から受信点までの見通し線、回析ポイント(勝手な造語)は大菩薩の稜線、南の端、滝子山山頂付近、遮蔽損失は-36dB(at 500MHz)ほど。スカイツリーへの見通し線と作る水平角度は11°南寄り。[先と同じような試算では d=110000m P=12500w 受信点での電界強度は41dBμV/mとなり、理論的にはこれ以上の値となることはない筈で、さすればブースターによる増幅分が反映されているのか]
追記)2024/2 とはいっても滝子山はスカイツリーより15度南方であり、見通し線はかなりずれている。きちんと合わせれば受信レベルは更に高くなるだろうし、TVKが映らない日はないから、やはり怪なのかもしれない。ただ惚れ惚れする山岳回析と見通し線。


電界強度とアンテナ出力 2022/08/08

ご存じの通り「RadioMobile」のシミュレーションは、電界強度としてあらわされるが、実際にテレビ受信機に入力されるのは高周波信号であり、その関係は
「受信システム計算事例集 一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)
受信システム事業委員会 受信システム調査普及専門委員会 第1.1a版[第1.1版の誤記訂正版]2012年3月」
よりの引用では〜

1-1電界強度とアンテナ出力レベルの関係(地上デジタル放送)
   電界強度E(dBμV/m)とアンテナ出力レベルV(dBμV)の関係は、次の式で示される。

    (dBμV)EGHeL6


   V:アンテナ出力(dBμV
   :電界強度(dBμV/m
   :アンテナ利得(dB
   
e:アンテナ実効長(dB He= 20 log(λ/π) (dB) λ= 300/f (m) f:周波数(MHz
   L:ケーブル損失(dB
   :開放値から終端値への換算(dB

計算例 電界強度60dBμV/mのところに14素子アンテナを設置し、測定ケーブル10mの出力をch13ch52で計算する。

物理チャンネル

電界強度E(dBμV/m)

アンテナ利得G(dB)

アンテナ実効長He(dB)

ケーブル損失L(dB)

終端開放の換算(dB)

アンテナ出力(dBμV)

13

60

6.8

13.9

1.5

6

45.4

52

60

10.5

17.4

1.8

6

45.3

〜だそうで
事例はなかなか素晴らしい数値で、視聴可能エリアの目安となる電界強度60dBμV/mの電波を標準的なアンテナで受け、アンテナ出力(受信機入力)が、受信機要求スペックの34dBμVにマージンの+10dBを加えた値(45位)として得られている。(というか真実は逆さであり、これは視聴エリアでの必要な電界強度60dBμV/mの根拠であろう)
高性能パラスタックアンテナだと、アンテナ利得が更に大きくなるから、アンテナ実効長で変換しても電界強度の値から数デシベルの低下した信号が得られることとなる。
それに、ケーブル損失と終端開放換算と分配器が入るならその損失が加わったものが、受信機に入力されるという勘定となる。

遠距離受信成功には 見通しが利くロケーション(立地)とアンテナ

 
受信できるか否かについて、無線をやる人から「ロケーションとアンテナ」と聞いたことがある。出力はあまり関係がないようだ。
こちらは固定の受信だけなので、送信所の出力の大きさは無視できないが、それ以上に受信点の立地は決定的だと思う。大きく分けるとふたつあると考えている。
これも理論的なことなので、実際にはやってみないと分からないが、お他人様の反射波以外の受信成功例を検証すると以下の条件はクリアできていることが多かった。

1.送信所から受信点までの立地
 →見通しが利くことが最上で、見通し線上に地物による障害物が存在しないこと、すれすれの場合はフレネル帯にかからない余裕があること
 中継局や送信所から受信点までの断面図を得て、見通し線を引けば判明する。
 アンテナは「電波の到来方向にあわせる」とよくいわれるが、見通し線が引ければ、その線上にある目視できる地物を 基準にしてに方角を合わせることが出来る。

2.受信点周辺の立地
 →アンテナに導入する際に近くに障害物がないことが最上で、遮蔽する建物や森林、樹木や地面に近いところを通過するなど、目視の範囲で確認できることが多い。
 だから隆起やくぼみ、起伏がある地形より、平たく開けた地形の方が難がない。 不明なら、例えば1km以内で断面図を得ると分かりやすい。
 更に細かくは、玄関はOKだが屋根は駄目、ベランダや庭は良いとか、屋根ならどこが一番強いかとかのスポット探し。

3.アンテナ
 →受信機のチューナー受信性能とブースターの使い方については別とすれば、市販では30素子のパラスタックがゲイン(利得)が大きいから、避けたいと云いつつ最終兵器。
 受信するチャンネルにあわせて、f特のゲインが大きいところを使いたいから、ローチャンネル用かオールチャンネル用かという選択がある。
 個人的には現在の20素子から新たに30素子の導入を検討中ですが、悩むところです。
 アンテナハイトパターンもよくのぼるが、原理原則としては地上から7〜10m以上で強くなるようで、細かくは5〜10cm刻み程度で変化するように思う。理論的なこととは無縁な感じだ。
 多分その他沢山の要因が絡んでいるのだろう。全局が揃って上がり下がりすれば分かりやすいが、実際にはこっちが上がればあっちが下がる。
 アンテナの向きと併せて、何度も調整を繰り返して、再現性と信頼性のあるポイントを絞ることとなる。天候次第ではあるが。
 また地元局などの強電界用と遠距離の弱電界用のアンテナ系列を別途用意するのが贅沢とはなるが、一番良いのだろうと思う。
 しかし弱電界用はゲインが大きくなるので、ブースターでサチらない為に、強電界局潰しにLPF、HPF、BPF、トラップ(RFならノッチフィルターというべきか)などを挟むことも考慮する必要もありそうだ。
 その使途として地域別のミキサーも市販されているようだ。
 ただ一本で済めばそれが一番イージーだが。

4.送信所のアンテナ
 →中継局や送信所毎にカバーしたいエリアが異なるので、早い話アンテナが何面あって、どちらの向きに電波を出しているかということとチルトされていれば俯角の程度など。
 大きな親局なら水平面は擬似無指向性が多いが、垂直面の指向性も気になる。
 中継局だと補完するのが目的だから、視聴可能エリアを示した地図やアンテナそのものの写真から推測する。
 見通しが利くからといってやってみても、あさっての方角へ電波を飛ばしていれば、受信点での電波は弱く、受信は難しいように感じる。しごく当然の事ではある。
 ただこれは相手方の都合なので、やってみないと分からない。今拙い経験からいえることは、1〜数W程度の出力なら見通しが利かないと難しい。
 kWクラスなら回析波でもその損失をまかなえておつりがあるように感じる。しかし距離がある場合とか、損失の程度にもよるが二重回析で映像を受けるのは難しく、おつりは僅か。

第2回 静岡波日本平受信考察 2022/09/04

 静岡県の親局、日本平デジタルタワーからの電波を山梨で受信出来るのかが、今回のお題である。
自宅での受信は東芝のレベルでせいぜい10台か20台なので残念ながら不可である。静岡×とか表示はされる。
日本平-デジタルタワー自宅
見通し線の通り、ふたつの回析となり損失が多いためと思う。22km付近の回析ポイント(リッジ)は樽峠付近で、県境をなす稜線である、次の51km付近のピークは下部の醍醐山山頂である。
日本平からの電波受信は、その県境稜線の存在により、見通しの利くラインは県内では難しいと思う、1回の山岳回析は避けられないが、富士川沿いに両脇の山々を避けるラインはないものかと捜してみた。結果はある程度のエリアではなく、かなり限定的となった。
日本平-荒屋敷
送信所に近いところ。受信点で標高が高くなっているのは、荒屋敷が台地となっているから、しかしその手前、富士川沿いでも山に掛かることは無いだろう。回析損失は-31dB(at 500MHz)。
日本平-新早川橋
ここいらは南に真っ直ぐに開けたロケーションである。しかしこのすぐ先の曲がった位置にある飯富あたりでは山に遮られる。回析損失は-31dB(at 500MHz)。先と同じような試算では d=50000m P=7000w 受信点での電界強度は50dBμV/m。
日本平-南アルプス市有野芦安線T字路
盆地でいけそうなラインは芦安線有野のT字路で、峡南の山々をすり抜けられる希有なラインである。芦安線のこの下のT字路(百々西農免道路)や六科交差点、或いは上の源あたりではやはり醍醐山あたりで阻まれる。またラインは2km手前、或いは少し先までいけそうに思える。ただリッジが丸すぎるかもしれない。回析損失は-26dB(at 500MHz)。先と同じような試算では d=76000m P=8000w 受信点での電界強度は52dBμV/m。
日本平-酒折駅
追加)一回目の山岳回析は樽峠の稜線といったが、地図を眺めていたら、盆地の東部では御坂山地が回析ポイントになると気づいた。試しに塩山駅、山梨市駅、旧別田駅、石和温泉駅、県庁で断面図を得ると、二重回析になり難しいが、酒折駅では一度で済むラインが得られた、東に行った140号線横根袴線橋南交差点では60km付近の山が掛かるようになる。回析ポイント(リッジ)は御坂山地ではなく天子山地の雨ヶ岳と毛無山の真ん中のピークあたりとなる。より山側か、3km手前、東高橋あたりまで大丈夫か。回析損失は-40dB(at 500MHz)。先と同じような試算では d=77000m P=8000w 受信点での電界強度は38dBμV/m。弱めか。

第3回 長野波美ヶ原受信考察 2022/09/08

 山梨においてありがたい長野波は、本命は富士見中継局だが、親局の受信はどうか?
自宅では東芝の受信レベルで10台や良くて30台なので不可である。長野×とかは表示される。
送信所は美ヶ原の王ヶ頭、標高は2034mにあり、出力は各局1kw、ERPはまちまちだが、試算では8kwとする。
美ヶ原-自宅
見通し線、16kmにある最初の回析ポイントは車山山頂付近、次の38kmの回析ポイント(リッジ)は八ヶ岳の中腹で富士見高原ゴルフコースの真ん中あたりである。
一つ目のリッジは良さそうだが、ゴルフコースのポイントは水平に近く、フレネル帯は樹木に大いに掛かりそうである。
山梨の盆地への飛び方の全般的な傾向は、先ず車山付近で山岳回析することと、次は八ヶ岳の中腹に擦れてしまうことである。二重回析となり受信は難しい。
また長野においても諏訪や茅野方面は霧ヶ峰の山陰となり電波は届きにくいようで、富士見中継局とか岡谷諏訪中継局はそれらのエリアを補完する為にあるのだろう。
美ヶ原-明野辺見
峡北エリアは長野波を狙うには有利であるが、南に開けた斜面である明野あたりも良さそうではある。一つ目のリッジは同様に車山だが、掛からない。次はやはり八ヶ岳中腹で、自宅より北側のラインとなるのでより標高が高く、飛び出しているので、うまく回析出来そうにも思える、回析損失は-32dB(at 500MHz)。先と同じような試算では d=60000m P=8000w 受信点での電界強度は48dBμV/m。
ただこれらを避ける見通しの良好なラインは無いものかと捜してみる。八ヶ岳中腹のスレを避けるには、自宅より西の方へラインをとれば良い。
美ヶ原-市川本町駅
身延線の市川本町駅は車山のリッジと60km付近の釜無川右岸の山々にかかるが、Hが低いので回析損失は-9.6dB(at 500MHz)で有望なライン、確実に回析を避けるには受信点から標高が100m以上高いければ見通しが利くようにもとれる。四尾連湖の山側の家ならいけるかもしれない。しかし隣の市川大門駅では遮る山が大きく難しい。車山での回析損失をおおざっぱに-10dBとすれば、先と同じような試算では d=81000m P=8000w 受信点での予想される電界強度は58dBμV/m。
[追記:自宅の屋根からこちらの方角に向けると、長野×とか入ってくる、レベルは20以下だが、強くあたるその山からの反射波だろう。或いは天子山地かもしれない。上手く利用できる人もいるかもしれない]
美ヶ原-芦川駅
市川本町駅の隣駅である芦川駅では更に良好で、手前の山が消えて、車山の僅かな回析のみとなる、同様に車山での回析損失をおおざっぱに-10dBとすれば予想される電界強度は68dBμV/mと高くなる。図示はしないが、更に隣の甲斐上野駅では八ヶ岳中腹に擦れるようになる。
美ヶ原-南アルプス市白根桃源文化会館
芦川駅のラインに近い手前の受信点ではということで、試してみたが、60kmあたりで山に掛かるのは市川本町のラインと同じ、しかし手前にあることから八ヶ岳中腹にも掛かりそう、導入では見通し線は地面すれすれである。芦川駅のラインは正確には桃源文化会館より東の白根郵便局あたりを通過し、また南湖あたりを通過するが、八ヶ岳中腹をクリアするには市川あたりまで南下する必要があるということだろう。追記:近くだが、感度の悪い携帯のワクセグでスキャンすると全局引っ掛かるが、受信は出来ない。

第4回 長野波富士見中継局考察 2022/09/09

峡北から盆地まで広いエリアで見通しが利く中継所であり、先に述べた「受信点周辺のロケーション」が良好であれば受信可能となると予測できる。
この中継局は標高は高く1580mあり、スキー場の西、地図上にアンテナの印はないので見つけにくい。
美ヶ原親局のSFNで、アンテナは4L双ループ2段2面のうち東に向いているアンテナから盆地方向に飛ばされる模様。俯角にチルト。出力は1W、ERPは6.8W。
全般的には
、電波は釜無川に沿いながら南東に下り、韮崎あたりを喉として、盆地へは狭い扇状にエリアが広がる。ちなみに韮崎市市役所は不可。
、富士見-自宅
自宅では美ヶ原と同じように東芝の受信レベルで10台や良くて20台なので不可である。長野×とかは表示される。26km付近の山は荒倉山で、釜無川右岸の山々に阻まれる。
ここの回析損失をまかなえるだけの出力はないということだろう。
富士見-県庁
甲府ということで県庁でやってみると、見事に見通しが利くことが分かる。このラインの延長線上もOKと推測できる。自由空間電界強度値E0の試算、d=44000m P=6.8w 受信点での予想される電界強度は52dBμV/mなので、受信環境を(ほどほどの高性能アンテナとかブースターで)良くしてやれば充分受信は出来る強さである。手前(32km)の双葉の山あたりでも見通しは利きそう。
富士見-笛吹八代ICS
断面図を比較すると、多分県庁ラインの延長上に近いと思う、更に余裕である。受信点での予想される電界強度は51dBμV/m。
富士見-アイメッセ
少し西に振ったアイメッセまでのラインであり、ここでも見通しは良好である。
富士見-玉幡公園
次は西に振った(というかアイメッセ手前の)の限界を探ると、竜王の玉幡公園あたりで、ぶつかる山が出現する。この程度ならすれすれとして-6dBなので何とかなるか。
富士見-イオンイオンモール昭和
更に西、このラインだと自宅と変わらないので難しいであろう。
富士見-とよとみ道の駅
更に西のライン、自宅より多く釜無川右岸の山々が遮る。
富士見-成田県立博物館
今度は反対に東のラインの限界を探ると、成田の博物館では、例の石和駅北の山塊や盆地北側の山にぶつかるようになる。
富士見-明野郵便局
次は、峡北地域をみてみる。富士見へは距離的に近いのも好条件である。
明野は断面図をみると、導入にあたって一度塩川(27km)で下がってから上がったロケーションになることが、大変有利である。見晴らしが良いのだ。ここは親局からの電波も届くだろうから(回析損失次第だが)、SFNの破綻が起きるかはやってみないと分からない。自由空間電界強度値E0の試算では56dBμV/m。
清里や大泉で試みると、富士見からは八ヶ岳の裏側にあたるようで見通しは全く利かなくなってしまう。
次に、小淵沢や長坂はどうかというと、この辺は隆起やくぼみ、起伏、山谷が多い土地で、高い松林や森林が多くあり遮られることもあり、かなり個別的であるという印象だ。届いて良いエリアなのだが「周辺のロケーション」が大きいように感じる。
肝要なのは、富士見高原スキー場方面へ目視が利くか?見晴らしがよい地点か?
富士見-R20号線大武川橋
20号線武川の交差点付近で、標高が低い谷底的な釜無川沿いはどうかということだが、9kmあたりで山に掛かるので、見通しが利くとはいえないが受信は微妙なところ。
富士見-日野春駅
谷底から山へ、武川から七里岩を登った日野春駅だと、南に開け見通しは利くようになるが、既に述べたように全般的に長坂、小淵沢まで谷あり山ありのアップダウンのある土地なので、「受信点周辺のロケーション」により左右されるだろう。
富士見-五町田交差点
一方、この辺は八ヶ岳の東南山麓で、なだらかで見晴らしの良い土地、長坂の東だが、見通しの利くラインである。小淵沢を通過する。かなり手前の11kmあたりから19kmまでずっーと見通しが利くラインとなる。[15km付近から見通し線の仰角と地形がほぼ平行となることから]アンテナ高は次の箕輪の見通し線共に高い方が良さそうだ。
富士見-箕輪交差点
今度は141号線箕輪の交差点であり、五町田より東となるが、同様に小淵沢(インター)あたりを通過し、見通しが利くラインである。
まとめとして、富士見中継所までの距離は20〜30kmで、見通しの利く峡北地域の受信点では、予測される電界強度は基準となる60dBμV/mに近いのでアンテナを向けるだけ、或いはローチャンネル用のアンテナ採用だけで受信できるのかなと思う。勿論やってみないと分からない。
ただし県内波の中継局は穴山のハイバンドか坊ヶ峯親局となるのでアンテナの向きは反対となる。
ただ頗る幸いなのは長野波物理チャンネルが異なるので県内波に潰されることはないから、二本立てて混合(混合器、ミキサー)するだけのことである。

閑話休題 スカイツリー三重県受信 東員町

ジュリエットオスカー氏のブログに三重県でのスカイツリー波受信の記事があった。興味深く拝見したが、見通し線で確かめたく、遅い話だが試みる。
何カ所かやってみたが、津とか四日市とか亀岡とかは1回の山岳回析では済まず駄目であった。要点は回析ポイントが南アルプスの稜線であり、問題は2つの稜線をまたぐことにある。ふたつの稜線とは、間の岳からふたつに分かれ、西の方は赤石岳などに繋がりメジャーな方、東の方は身延山地に繋がる。稜線が一つなら1回の山岳回析で済むが、二回ではしばしば指摘しているように損失が大きい。また富士山を如何に避けるかもポイントである。その記事での受信点は不明だが、三重県で受信できるのか?
スカイツリー上河内岳三重東員IC
探し当てたのが名古屋にも近い、東員町で、インターチェンジを受信点とすると、南アルプス東側の稜線に掛からず、西側の上河内岳での1回の回析だけで済むし、リッジはガレ場に近いだろうから良い(但し未確認)。回析損失はH2500m、-37dB(at 500MHz)。先と同じような試算では d=298000m P=70000w 受信点での電界強度は39dBμV/m、結論から言えば「やってみる価値はある」としておこう。またこのラインの延長線上や前のポイントでも可である。ただし一例ということで、まだ沢山見つけられるかもしれない。

第5回 東京MX、TBS受信成功 2022/09/15

自宅受信点ではスカイツリーからの電波のアンテナレベルには日内や日々の変動があり、テレ朝も受信が出来ないこともある。一方レベルが低すぎて受信が出来ないと思っていた東京MXとTBSは、たまたま9/10の午後11時頃、テレ朝のレベルが東芝(32S5)で50(通常は39〜43)に上がったので、確かめると35位に上がっていた。試しに選局すると映るではないか。
35でも両局ともきれいに映る。(東芝、松下とも。但し何時も映るわけではない、下記写真は後日絶好調の時)
物理CH 16 東京MX テレビは松下(パナソニック)TH-L42E60

物理CH 22 TBS
松下は推奨レベルが44以上でCN比を基にしていると取説にはあったが? このような時には県内局が低くなっている。またテレビ受信機の性能要求はCN比22dBだから、パナはその倍で受信レベルを出しているのか?そんな話も聞いたことがある。

 この(アンテナ受信レベル)35については、メーカー毎に違うし一般的には電圧ではなく電力を基にした指標のようだが、電圧指標のようにも感じる。想起されるのは受信機要求スペックの34dBμV、東芝での推奨レベルは43以上、+9dBなのでマージンか?しかしテレ朝に関してはせいぜい東芝では39以上(ただし松下では35以上)ないときれいに映らないのは電波品質が悪いのだろうか。それにしても相関はありそうだ。
これにて一応、理論的には受信可能なスカイツリーからの放送局に関しては成功したので、受信技術(といっても中学生レベル)に間違いはなかったと結論付けて良いと思う。
 その後数日受信レベルを観察すると、帰宅する午後7時位は高く、8時頃には一旦落ちて、9時過ぎからは上がる。朝は8時過ぎから上がる。あとの時間はいないので分からない。
「雨が降ると映らなくなる」という話は良く聞くが、そんなことは関係なく、ザーザー降りでも映るし、晴れていても映らないときは映らない。降雨による減衰を調べても1GHz以下ならたいした量ではないようだ。ただ東京の天気を知る術はないが、これは極個別的な事象なのかもしれない。
それに引き替え鶴見送信所TVKは全く影響されず常に55をキープしている。
東京MXとTBSが映った事は嬉しいのだが、実質的にTBSは地元局UTYとプログラムはほぼ同じ、だがCMは異なる。東京MXはアニメだから個人的には需要がない。
 成り行きから次の目標は、完全に県内送信所からの電波を潰して、残りのスカイツリー波を受信することとなろう。
民放2局しかない山梨県は山に囲まれて、スピルオーバー直接波の恩恵は限定的で、損失の多い回析波に頼らざるを得ないから、通常の受信環境では映らない、いわゆる「電波過疎地」。方や関東平野にお住まいの諸氏は、四方八方から直接波が飛んでくる「電波銀座」うらやましいかな。

第6回 ULX30とULX20 *県内波の問題

だいぶ前にULX30を購入して、試していた。例によって屋根に載せてみるが、ULX20同様芳しくなく、ベランダのマストに設置する。ゲインに関しては確かにスペック上での2dB程度高いように感じる。以下比較してみると。

1.扱いやすさ: マスプロのLS306TMHよりは短いのだが、やはり扱いにくい、片手で持てる重さだが気を付けないと色々なところにぶつかる。買ったその日に反射器1本折ってしまった。
2.指向性:ULX20より狭い、時にTVKや県内局は受信できないレベルになってしまう、テレ朝(24ch)や東京MXは多少上がる程度で、期待はずれ感が大きい。
3.経済性:野暮な項目だが、購入価格はULX20より倍くらい高価、だからULX20ですむならそれに越したことはないし、スタックしようと2本買ってもULX30と同じ出費。
4.利得など:私の場合ULX30でないと映るチャンネルはなかった(東京波以外にも)、逆をいえばULX20はそこそこ性能がよいといえる。

ということで、結局ULX20に戻していた。
ただULX20でも、スカイツリーの見通し線に完全に合わせると、県内局YBSとNHKのレベルが低下する。県内波と県外波のアンテナ系列を別にすることは既に述べたが、安定受信のため試みることにした。当初は手持ちのマスプロのW73NミキサーにUA20か昔のUHFアンテナ(7とか8素子)を合わせるだけで何とかなるかと思っていたが、何とかならずブースターを挟むこととなった。ケーブルの長さは各々勝手な長さであり、位相合わせなどはなから考えてないので、調整は、屋根馬に乗せた県内波用アンテナを移動させることになった。
その時のブロックダイアグラムで、混合器はマスプロのMIXUDに変更してある。

県内波にブースターを挟めば、受信アンテナレベルは最大になる。4局しかないしサチってはいないと思うが、県外波系列から来る県内波信号をつぶせるかと考えた。40dBくらい差があれば。
ミキサーにはひとつの入力にアッテネーターがあるので、それは県内波用系列に入れてある。混合具合を調整できるのだが、県内波用系列からのレベルを下げれば、NHKは高くなり、YBSは低くなる。結果的にYBSとNHKはシーソー関係になり、-5dBか-10dBでなんとかバランスをとれるようにはなった。またアンテナどうしは4m位は離れている。
 ただULX30を使いこなせないことは無念で、試しにスタックとしてはどうだろうかと思うこととなった。

第7回 異なるパラスタックアンテナをスタックする Part1 2022/10/8

スタックの記事をネットで調べると、多くは無線の方のアンテナに関してで、近所でもスタックした巨大なアンテナはよく見る。
地デジ遠距離受信でも試されているようで、基本的な参考としたのはDXアンテナの「Dサポ!」で文面を引用すると・
「Q:複数のアンテナを同じマストに設置するとき、アンテナとアンテナの間は、どの位空けておけばよいですか?
A:同一のマストや横並びに複数のアンテナを並べて設置する場合の、アンテナ間の距離は
下図の通り、UHF/UHFのアンテナ、FM/UHFアンテナ、衛星/UHFアンテナのいずれの場合でも余裕をもった間隔をあけてください。
■推奨距離(下図 A ):1m以上 最低間隔は 0.6m以上です。」
とあり、0.6mは500MHzの1波長?
また付け加えると、原則では同一のアンテナから、同じ長さのケーブルでミキサーに入れる、同一マストなら水平偏波で垂直配置、横に並べるなら水平配置で、間隔については上記の通り。
要点は位相を合わせることだと、至極当然のことである。

しかしこちらは異なるアンテナを組むことになる。アンテナが異なるので位相関係は同じではない。ダイポールの位置も異なるが、一応位相は無視できないので、ケーブルで合わせることを試みた、即ちマストの芯からダイポールF柱までの長さの差を出して、それに5Cなので0.66を乗した長さである30cmの差をつけることとした。アンテナ間の距離は70cmは確保でき、上にULX20、下にULX30を取り付けた。
方角はスカイツリー見通し線とした。アンテナ直下に前置ブースターU20L3Cをかませてから混合器に入力する。混合損失は抑えたい。以下ブロックダイアグラム、但し県内波系列はまだ接続していない。

 同じマストに垂直配置にて取り付けたわけだが、ULX30は3.2kg、ULX20は2.06kgで1インチ径のマストでは強度的には厳しい感じもする。風があった日だったので、それなりになびく。
やってみると、受信状況は劇的に改善とはいかず、努力の甲斐もなくなんか期待はずれ。1本より多少良いかなという程度。
ただこれで諦める人ではない、ULX30は低い位置の方が良いのは分かっていたから、屋根馬に載せベランダに置くこととした。とりあえずは脚立を支えとした。高さはベランダ床から1.5mほど。
マストの位置に合わせるのが基準だから、始めその辺に合わせるが、少し後方(ULX20のダイポール方向)が良く、またアンテナ方向は見通し線ではなく、2〜3度南に振った方が良好となった。午後3時頃だが、シャープの受信レベルでテレ朝が55位であったのが61に上がった。東芝では42.43位が50に上がった。+3dBが意識できるレベルである。またTVKは従来通り高値安定。県内波もなんとか受信可能なレベルとなったがギリである。これは連続に移動できることで位相の関係が良くなるポイントを探し当てたのだろう。
アンテナ間の距離は1.4m、水平でも垂直でもない斜めスタックである。これから更に追い込むつもりだが、思ったことは、スタックの場合、アンテナ間の距離は大きい方が良いのではないか?ということで(Dサポ!の1m以上の通り御利益あり)、これは八木宇田アンテナに利得があるのは前方の空間からの電力を集めているとか読んだことがあるが、そんなイメージなのだろう。フレネル帯の大きさは波長と距離によるが、ダイポールにて収束するわけで。
距離に関しては、アンテナの長さ(実効長ではなく実際の寸法)が30素子のように長ければ、先端方向ではフレネル帯は深くなるから、アンテナが近寄っていては重なってしまう。倍のフレネル帯の大きさ、体積が確保される必要があるのだと考える。
 次の追い込み策は、リッジ方向への仰角をつけることで、ULX20には前方ステー取り付けのところでアルミパイプを挟み、既に1.7°つけてあるが、ULX30では屋根馬にて2°つけてみようと思う。
所謂アンテナは垂直方向も指向性があるということで、(最近見なくなった)メーカー発表の指向性は水平面だが、垂直面も肝要ではないかい?と思う。AFのスピーカーの指向性と同じである。波だし。

第8回 異なるパラスタックアンテナをスタックする Part2 2022/10/11

数日かけて、追い込みと設置を行った。その結果である。屋根馬とマストを新調して、ULX30の系列を新設したことになるが、その設置ポイントはかなり細かく、5cmごとに変化するような感覚であった。
マスプロのミキサーMIXUDは、大変便利な混合器で、減衰器に加え各々DC給電SWがあるので、前置ブースターへの給電をONOFFできる。
最初の写真は、テレビはシャープの画面で、ULX20とULX30をスタックしたもの、次はULX20のみ給電したもの、次はULX30のみ給電したもので、アンテナ出力の比較をした。
 大まかには、上から4行までが県内波で、以下県外波(区域外の☆マーク付き)となる。テレ朝視聴を基準に調整をしてあるので、スタックすると確実にレベルが上がっているのが分かる。しかし単独でも各々59は出ていて、スタックして63になりましたということである。TVKは67、69が74で同様に上がっている。
この時は朝9時半、晴天で、電波は良好、TBSも視聴可能であった。
 その時は気づかなったが、東京MXや千葉テレビはULX30のみの方が高く、もう少し頑張れば視聴可能かなというレベルである。
またアンテナ間隔は1.7mであった。マストは10数cm後方(ベランダ壁基準で)。方角は両者ともスカイツリー見通し線で、ULX30は数度南に振っても大きな変化はなく、単体時の強い指向性には感じない、ベランダからの高さは1.7m。まだ仰角はつけていない。また今回のスキャンではテレビ東京は入っていない。

ULX20+ULX30

ULX20のみ

ULX30のみ


ULX20のマストの水平に張ったステーはULX30の設置にあわせ、アルミから塩ビに変更した。
(水平面での)アンテナ間隔を狭めれば、県外波の受信レベルは更に上がるが、そうすると夜になってNHK甲府のレベルがかなり下がり家人から苦情が出る。
多分、坊ヶ峯送信所よりの電波到来方向は40°南になり、斜めよりアンテナには入るいるので、位相差が付くのだろう。これは水平スタック分での要素だろう。
 次に考察すると、聞くところによるとスタックして2本のアンテナを1本とみなすと指向性が強くなるらしい、これは0°でのゲインが上がるということなので、逆にあまり離しすぎるのも良くないということなのだろうか。といっても近づければ、理論的な極限では距離0なので、1本のアンテナに戻ってしまうから、その辺丁度良い塩梅があるのだろう。
終わりに、今回手元にある異なるパラスタックアンテナを仕方なくスタックした感があり、本来的にはULX20、2本垂直スタックの方が位相合わせは難がないし、出力もそう変わらず、スマートではないだろうか、ただ諸氏に関していえば、個別的となり、ケースバイケースではあるが。

雑記: テレビ東京 受信成功

 パナソニックのテレビは、受信感度が良好だろうと聞き及び、(遠距離受信的)好奇心から購入したはいいが、置くところがなく、仕方なく寝室に置いたので受信状況を確認する為と、ひとりで大きな画面で視聴するのに使うこととなった。確かにシャープや東芝ではブロックノイズが多いときでも、松下ではあまり気にせずに見ることができる。
ある日、番組表なるものを見ると、NHK甲府教育は深夜には停波するかもしれないことに気づいた。といってもいつもは寝ている時間である。
ある晩、夜中に起きたので、試しにテレビ東京が映るのか?と試みると、映るではないか。 テレビには変更がありましたとか何とか表示される。
 しかし残念なのはNHK甲府は昼夜を問わず電波を出しているようで、フジテレビを見る事はかなわない。
物理CH 23 テレビ東京 10/12深夜 テレビは松下


第9回 異なるパラスタックアンテナをスタックする Part3 同一物理チャンネル、異なる放送局の受信 2022/10/15

 ULX20とULX30のスタックで、県内波の受信も可能ではあったが、ULX30のみで県外波に関して設置位置のより良いところを捜すことにした。
ULX20については、何度も試みた結果の位置だったので動かすことはしない。当初垂直スタックを想定しており、ダイポールの距離はULX30とは45.5cmの差があるので、ケーブルは30cmの差をつけてあった。

試みると、ULX30はベランダの東方向へ移動させるとシャープのレベルで2.、3上がることが分かった、ただし1m以上出すと、屋根の上の時のように逆に低下する模様。
しかし問題は、県内波がかなり低下することで、これは見通し線の斜め方向から電波が到来するので、斜めスタックの水平分に位相差が生じるのが大きな原因なのだが、より酷くなる。
ケーブルを同じ長さの2.62mにして、ダイポールの位置に合わせることにした。これにより45.5cm見通し線の東方向に出す計算となる。
スイートスポットは繊細で5cm刻みほどで、10cmも離れると位相差が付くのか、アンテナレベルは明らかに低下する。

 県内波レベル低下については、先述の弱肉強食的潰し方で対応することにしたが、問題は県内波用のアンテナを設置する場所であった。
ベランダに置くと、県外波系列のレベルに影響して低下する、ULX20とULX30のダイポールよりだいぶ後方になんとかなるポイントがありそうだったが、県内4局すべてが満足できることはなく、最終的には屋根に載せることとした。ちっちゃなアンテナ1本置いただけで、大いに干渉してしまうのはRFだなと感じ入る。
結果的には先のブロックダイアグラム通りだが、アンテナは昔のマスプロの7だか8素子で、スタックのケーブル長は2.9mではなく各2.6mである。
そして下の画像はアンテナレベルの状況で、NHK甲府は受信に問題ないが、幾らか低めである。県外、県内のシグナルの混合具合により相互に影響がある模様で、各々ブースターの半固定やらアッテネーターの調整をした。それは凡そブロックダイアグラム記述の通り、今回は県内用ブースターの半固定VRを上げると4局同時にレベルが上がるが、あまり上げると県外波のレベルが下がる。ミキサーは手持ちの古い物(W73N)を使っているが、新調することを検討している。(すぐにマスプロのMIXUDをもう一つ購入)またパナの推奨レベルは44以上である。
〔追記2024年、この県内波抑制法について考えるに、坊が峯からの電波はかなり強い、UA-20でブースターをかませば、優に80は超えるが、位相差はあるので、これを後から混ぜることによって、SN比を悪化させているのだと思う。〕


物理CH 23がふたつあるが ひとつはテレビ東京の分だと思う、「同一物理チャンネル、異なる放送局の受信」に対応していないのだろう(当然か?なんとかしろよ)。一方、シャープの受信レベル一覧ではテレ東とNHK教育甲府は別々に計測される。
別画面では、本来もっと高いはずのNHK教育甲府とテレビ東京が同じアンテナレベルで計測されている
ただ面白いのは、テレ東の番組表は更新されるのだ。
また今回のもう一つの収穫は県内波の受信レベルが皆下がった事象であり、逆説的にはスピルオーバー潰しを潰したということだろう。更に下げる事が出来るのか。
そうすればシャープでスキャンするとフジテレビも出現するのだろうか。


雑記: NHK教育東京 受信成功

物理CH 26 NHKEテレ東京 10/17

物理チャンネル26は県内波には潰されてはいないので、原理的には受信ができるが、今の今まで成功はしなかった。それはスタックにしたからかもしれない。
プログラムは地元のNHK教育甲府と同じで、東京MXやTBS以上に需要がない極めて悲しい局ではあはあるが、何とか受信できましたというご報告。
このチャンネルでの松下テレビの視聴できる受信レベルをみると、その時、電波の強さに細かな変動はあり、品質は不明だが、30位から画像は入って来るようになり、33位でも音声、画像とも訳が分かるようになり、35を超えると問題なく映るようになった。
追加) パナの受信レベルは30から問題なく音声画像とも復調できることもあり、NHKEテレ東京では30から31あれば可能である。だからこのところほぼ毎日映る。しかし大まかには36以上という経験が多い。CN比18dBがボーダーラインという印象、これを死守すれば年間に渡り視聴可能となる目標であると考えている。2023 5/24

ULX30のたわみ 2023/04/16

気温も上がり、ぼちぼちテレ朝(24CH)も観ることができるようになったので、アンテナの点検と調整をした。
4、5ヶ月ぶりにULX30を見ると、1.水平ではないことと(エレメント方向)、2.頭とおしりが落ちていることが判明した。1.エレメントが水平ではないことは、このアンテナはステーに取り付け金具があるのだが、ねじれているように見とれる。ブームが多少傾いている。
2.おしりが落ちているのは、ステーが後方に落ち曲がっていて、ステーの役目をしていない。マスプロのパラ30素子のブームが前で折れたのはどちらかで拝見したことがあるが、DXアンテナでは両側が弛んでしまうようだ。原因は重力といえばそうだが、ステーの強度不足に相違はない。曲がってしまったステーを矯正するのはなかなか難しそう。メーカーとしては3mほどの大きなアンテナなので、軽量化の方が優先されたのだろう。一方ULX20はしゃきんとしている。たぶんズッートしゃきっとしているだろう。
 その結果、ゲインは落ちているようで、手で矯正すると上がるように感じる。さて、どう直そうか?
レンズの収差ではなく両側が落ちている、、下の手すりと比較すると分かりやすい。取り付け金具近くでステーが下に曲がっている。

解決策の検討
1. ステーを補強する、ステーの強度不足だから正攻法。一段太めのアルミパイプを現行22..2Φに被せる、しかし現行ステーは2箇所で曲げ加工されているので、どう入れるかは思案所。或いは現状のステーに、昔のステー(三角になる奴)を追加する。
2. 上からつる、よくブドウ畑の棚を高い柱から吊っているが、マストの先が空いているから、そこに金具をつけて、ステン針金で吊る。しかし方角を合わせるときには、取り付け金具ではなく、屋根馬で回すことになる。
3. おしりにつっかえをする、ベランダの手すりのアルミ板とブーム間につっかい棒を立てる。これは方角合わせのあとに限定されるが、ある程度の期間やってればステーの矯正が出来るかもしれない。
水平方向は、ポイントは割と緩く、見通し線ではなく双葉のYBSのAM電波塔を目印にすればい良い。
4. 直接の直し方とは関係ないが、マスト径を1インチから1.5インチ径にする。

ぶどう棚風吊り上げ。
実践:最初は3.おしりに木製つっかえ棒を入れるのを試みた。反射器の位置に入れた。高さ調整が微妙で、それが出来る機構を考えるのが良いが、とりあえずは下に板を挟んで調整した。挟んだ後に方角を変えるとは出来ない。良い点は後方が固定されるので、アンテナのぐらつきがなくなることであった。
次は、2.両側を針金で吊る方法だが、これはなかなか良かった。方角合わせは屋根馬で行えば良く、またテンションは取り付け金具を下方に引けば、両側が上に引っ張られるので、たとえ少し経てからでも再調整は可能である。金具はステーリングの止め金具の下に穴がふたつ180°にて貫いていたので、逆さにして、マストの先端に固定。ステン針金(1.6Φ)はそのふた穴を通しており、1本だけで、至極簡単であった。
針金はブームのステー取り付金具、前後に縛り付けて、エレメントのプラ部分に当たらないようにしてある。
ただしアンテナ高の再調整は出来ないのが欠点。(小さいターンバックルを入れると良いかもしれないが、大幅には無理か)また普通にステーリングにつけて針金を張っても良いと思う、そうすればアンテナ高の調整も出来る。難点は水平を確保するための各々の針金の長さの調整だろう。
エレメントの水平確保は、適当な厚さのラワン板を挟むことでいくらか解決、上記写真の取り付け金具の上に、ブームとマストの間に挟んである。

次の問題発生 NHKがレベル低下 と 寒気の影響 2023/04/19〜22

 悩みは尽きないもので、今度は地元局NHKが映らなくなった。テレビで受信レベルを確かめるとかなり低い、パナで20以下だから映りはしない。従来からの調整する箇所は、県内波アンテナからのブースター出力と最後のミキサー間のシールドの長さを色々と変えることにより調整をしていたが、NHKを上げるとYBSが下がるなど解決には至らなかった。
仕方なく、今朝屋根のアンテナを昔のUHFアンテナからDXのUA20に変更してみた。
アンテナ方角の調整と、同様にシールド線長さ調整の結果、なんとか各局のバランスを執ることができた。坊ヶ峯の23CH NHK教育が高かったのも是正され、多分これにより隣局24CHテレ朝のレベルが上がったと思う。方角は坊ヶ峯ではなく、スカイツリーの方に向けると、スカイツリーからの電波も僅かに捉えられていた。貢献してくれるかどうかは不明だが、3本、不規則変態スタック?かいな そういえば迷惑な身延局のスピルオーバーも考慮しないと。(後に確かめると貢献はない。)

その身延局の24CHがテレ朝24CHに被るのだが、以前にも触れたように作る角度が100°ほどなのでヌルポイントにはいる。これは仕方なく身延の28CHの受信レベルで評価しているが、これが東芝で10以下に抑えれば、テレ朝の勝ちとなると思っている。(テレ朝は42以上)

寒気が来ると、スカイツリーからの電波が弱くなる現象については、大気の逆転層の発生により屈折率が異常に変化することで説明は付くようだ(Mプロファイルと図示されるやつ)。よくラジオダクトの説明をする際に上がる。
寒気が下方に、暖気が上方になり逆転層を作るというもので、地デジでは、夜明けに一度電波が弱くなる現象も知られており、これは放射冷却により地表面の大気が急速に冷えてることから説明されるよう。
また他には、遠距離なので関東平野と甲府盆地の気象の差も大きいように感じる。冬期の大陸からの寒気の流入は関東平野の方が早く、その後に盆地に入ってくるようだ。
 昨晩(4/22)は暖気に覆われ日中30℃に迫る暑さであった、夜の7時まではテレ朝もパナのレベルで42位でよく映っていたが、その10分後には突然16まで落ちた。しばらく経つと、風が強く吹き始め、深夜まで続いた。2〜3時間後には徐々に電波が強くなり、11時頃にはレベルは35まで回復した。大気の入れ替えが終われば元に戻るようだ。
隣局間の受信レベルをドングリの背比べ状態にするとよいようだ。2023/04/29
テレ朝24CHは甲府Eテレ23CHとYBS25CHに挟まれているので、この2局が50〜60以上とか高くなると、24CHは35以下に下がってしまいうが、この2局を抑えると38に上がって視聴できるようになる。ということはスカイツリーからの24CHの電波は試算のような強さで来ているが、より強い県内波と交じったときに問題が生じるとも考えられる。時に東京Eテレも同様の現象がみられる。

2023/05の構成

最近思いついた疑問 断面図見通し線と丸い地球 2023/05/10

地球の曲率が国土地理院の地図から得られる断面図には考慮されていないのではないか?とふと思いついた。方位については信頼できそうである。
ラジオモービルでは地球が丸いことは考慮されているようだが、使途が違うからかな?距離dが100kmなんて位になると、山の高さも受信点と送信点を基準としてみれば標高とは違う。
国土地理院の断面図と地図を見比べると、どうも高さは標高を基準にしているように読める。換言すれば地球表面ある海面=0mを基準としている平面的な表し方となる@下図。ほんとうはその横軸に曲面が凸に加味されると考えられるA。その量は100km離れていれば一番高いところで190mと計算されたから、場合によっては考慮しなくてはならないだろう。例えば真ん中にリッジがあれば、Hがその分高いという風に。しかし今までやってきた「伝播における位相損失は考慮せず、直接波の自由空間電界強度値E0を求め、回析損失を引く」という予測値がそう大きく違うこともないだろう。もともとアバウトな予測法だし。しかしリッジ高Hが低いときなど、その比率で影響の度合いはかなり異なる。あとは、リッジへの仰角がより大きくなることで、やってみると大まかには数度高くなるようだ。
 或いは、UHF波の性質として、大気の屈折により球面(地表面)に沿って、地球の曲率に近い伝播と仮定できるなら無視しても良いかもしれない。見通し線を直線にした、すなわち等価地球半径 r・4/3を使うらしい。
上はA球面基準、下は@標高基準

チバテレ受信成功 ただしワンセグ 2023/05/27


興味本位からワンセグ受信もしてみたかったので、チューナー付きのDVDプレーヤーを入手した。
ワンセグ-フルセグは電波の強さに応じて自動切り替えするが、どちらかに設定することも出来る。
チバテレワンセグ、AV出力からパナで映している。
生まれて初めて千葉のテレビ局を観た。その受信レベルは7%或いは14%(基準は不明、パナだと14)なのに映ってしまうのは感心した。画像が悪いのはワンセグで仕方ないが、といってもこの機のは悪すぎるのか? 
船橋送信所までの見通し線、リッジは黒岳100m南方、距離は144km
例によって「伝播における位相損失は考慮せず、直接波の自由空間電界強度値E0を求め、回析損失を引く」では電界強度は32dBμV/mとなり、スカイツリーからのと比較すると距離は20km遠方の144km、ERPは70kwに対して4.2kwしかない。スカイツリーからだと45dBμV/m程なので、この差がワンセグ、フルセグの分かれ目か。或いは安定受信のTVK、鶴見三ツ池は2倍の出力で、距離は110km試算では41dBμV/mとなりこちらの方がふさわしいか。フルセグなら推定値で40dBμV/mは必要か。
電界強度をアンテナ長で電圧に変換するときにアバウトに0dBとすると、ブースターには40dBμVなので、この値はメーカーが引っ掛かる最小レベルととして41dBμVというスペックと同じであるともいえる。
長野波や静岡波も同じくらいのレベルなのでワンセグなら映るだろうか。

チバテレ受信成功 今度はフルセグ 2023/07/19

ちばテレと東京MX

6月頃からは、いっそう在京局の電波が強くなり、テレ朝はブースターの半固定を下げないと、ゲインが大きすぎて逆にレベル低下を起こすことがあった。一見フェージングのように見えた現象だ。東京MXは夜間たまに映る。TBSとEテレ東京も需要はないが、同様で、映る頻度は増えている。
さて始めて、ちばテレが朝方にフルセグで映ることがあった。先述の通り予測される電界強度は32dBμV/mなのだが。気象条件次第であり、大気の屈折率の変動が要因とは推測される。いわゆるダクト伝搬なのであろう。
 よって、これらの局は安定受信とはほど遠く、電波の強弱の幅が大きい、東京MX、TBS、千葉テレは通常はパナのレベルで10〜30である。
一方ハードウエアの変更は、ULX30のマストを1インチから1.5インチ径にした。これは大きな改善で、前と後ろのフラフラ感は減り安定感は増す。リッジへの方角あわせもスムーズで安定する。
ULX20の方も見通し線に正確に合わせる調整をした。その結果か千葉テレが映ったり、テレ朝はパナのレベルで50を超えるようになり、先述の「一見フェージング」につながったと考えている。
7/24夜11時チバテレのレベルが高くなった時のパナの一覧
受信点からリッジを望む。スカイツリーからの見通し線、奥の稜線、左の赤矢印が黒岳付近のリッジ、その下方白矢印が水が森稜線のリッジ、同様に右の矢印は船橋送信所からのリッジ。右下の電波塔は双葉にあるYBSラジオのもので、受信点からはば真東となる。ベランダから。
あとは、長野局受信を試みている。いままで裏山の木々に挟まれてリッジが不明だったが、地図や画像で詳細に調査し、近所における見通し線を明らかにして、目標とするリッジがなんとなく特定できた。屋根とほぼ同じ高さの裏山との関係で、アンテナは屋根に載せるしかないが、妨害波となる県内親局(坊ヶ峯)からは80dBμV/m以上で届いているはずで、これをどう潰すかがテクニカルな課題となると考えている。長野波はローチャンネル、県内親局はスカイツリーとほぼ同じチャンネル。作る水平角度は150度くらいあるが、アンテナの前後比は20〜25dBほどだから、アンテナのみでの解決は難しい。急峻なLPFかトラップを考えている。
富士見局への仰角は3度ほどありリッジまでの見通しはなんとかあるが、美ヶ原局からのリッジのへの仰角は2度ほどしかなく、裏山の地表すれすれであるから、樹木に阻まれ見通しは悪い(120m先)。アンテナは2mは高くしたい。出力に関しては富士見局からの回析波はかなり弱く、美ヶ原局から方が有望だが、実際には同じ程度の受信レベルだった。アンテナは屋根の中央でH2mであったから、県内親局からの強烈な強さの妨害を受けていたと考えられる。
またそれに伴いUHF帯の樹木による損失を調べてみたが、参考となる資料は乏しかった。森や林の深さや枝葉の密度には関係するが、アンテナの間近を除けば、庭木の一本二本なら無視できる程度とのペーパーがあった。

富士見中継所ワンセグ受信 2024/02/20

 夏頃にワンセグでチバテレを受信した。以前、長野波に関しては自宅では受信レベルが低すぎて、フルセグでの視聴は困難とも報告した。
ならば、ワンセグで受信するのも良いかなと思い立った。
それには理由があり、冬期になり裏山の林が落葉して、リッジとおぼしきポイントが目視できるようになったからである。
赤印がリッジ、夏は葉に隠れる。一番奥の台形の山が荒倉山。下記の写真は夏。撮影位置はほぼ現在のアンテナ位置。

富士見中継所-自宅の見通し線、第一リッジがH910m荒倉山稜線、その後の第二リッジがH805m、戸沢と桐沢の間の山の稜線。国土地理院の断面図は300ポイントなので、それを外れると正確なリッジ高さHは得られないから、新たに作り直した。
断面図からすると第一リッジへの見通しは利くようだが、受信点からの目視では不明瞭。しかし見通し線上の少し前方で写真を撮り画像を拡大して確認すると奥に荒倉山の稜線が認められる。せいぜい10m以下の差である。

例によって「伝播における位相損失は考慮せず、直接波の自由空間電界強度値E0を求め、回析損失を引く」では受信点の電界強度は54dBμV/mとなり、それに荒倉山の回析損失-25dBとその次の山の分として-6dBで、残高は23dBμV/mと試算される。ERP6.8W、d 36000m
LS206TMHと、突き出しを購入して、リッジへ見通しの良さそうな家西側の破風板に取り付けた。次に、より北側へ移動してみた。

長野放送局 取付場所 旧破風板 (南側)Hi 屋根Lo 破風板(真ん中)Hi M
NHK長野Eテレ 13ch 18 12 22 22
TSBテレビ信州 日本テレビ 14ch 18 17 21 20
NBS長野放送 フジテレビ 15ch 485 22 20 24 24
SBC信越放送 TBS 16ch 23 15 22 23
NHK長野 17ch 19 14 17 17
abn長野朝日放送 テレビ朝日 18ch 503 12 10 12 12

パナでのレベルで、良さそうな条件をとって表にすると、林の枝葉のかぶりが少ない所として、一番よく見通せるのは、「旧破風」で位置は一番南端だが、受信レベルからは、それより北側の「破風Hi M」、が良さそう。「屋根Lo」は屋根の上中央西端だが、良くない。(Hi、Lo、Mはアンテナの高さ)
考察すると、強力な県内波はほぼ真後から来るがかなり強い(受信レベルは70以上)。屋根ではその影響が大きく、特にアンテナをより上げると著しい。Loは低い位置。
旧破風板は影響は受けづらいが、隣の家の屋根に近くなり低くなるか?ということである。
それならば、LPFでも作ろうかと、7次チェビシェフ0.01dB、fc520MHzのを製作して挿入してみた。県内波は理論通りの減衰ではないかと思われるが、肝腎の弱い長野波も弱くなり、意味がない。〔パナの受信レベルはCN比の倍であったかとうか、うる覚え〕
18CHが低いのは、TVKと同じ物理CHなので被っているのだろう。それ以外は各局よく揃って入っている。ハイトパターンも関係なさそう。
 
NBS長野放送 天気予報 勿論ワンセグ パナ(TH-L42E60)のAV入力より 
ワンセグ受信には問題ないレベルであり、今まで見られなかったフジテレビや長野のNHKを見ることができるようになった。
また同時に計測した美ヶ原親局からのレベルは、富士見中継局からのより低めである。裏山で地面すれすれで、2番目のリッジのゴルフ場への見通しは利かない。(ただし15CHと18CHは現象としてフェージングのような極端な低下が生じることがある)
唯よく考えると、美ヶ原親局と富士見中継局はSFNで同じ周波数の電波が、同じような方角から位相をずらして入ってくる、いわゆる混信しているから、CN比は悪化して、共倒れ状態になるのか?
この混信は諸氏のシミュレーションを参考にすれば、美ヶ原親局はうちのロケーションも含め南プスから市川大門方面(盆地の南西側)に強く出て、中巨摩の北とか甲府、県庁付近にはあまり届いていない。だから富士見中継所からの電波は受信しやすいのではないだろうか。
[追記:この件について、美ヶ原親局と富士見中継局の距離差は32kmで、38km以下だが・・・
「放送用周波数の割当ての現状」総務省情報流通行政局放送技術課資料の「SFN(Single Frequency Network)を活用した放送ネットワークの構築」には『なお、隣接局同士の距離が遠い(38km以上※1 )、フェージング※2などの気象現象や、山間部等の地理的要因による反射波の影響などにより、混信を受けてしまう場合には、同一のチャンネルを利用することができない。』とあり、一方DU比は0でも最近の受信機では受信可能とも聞く、しかし少なくとも電界強度は60dBμV/mあるのが前提なのだろう]

次に、東京波のワンセグ受信を想定して、家内の配線を考えると、長野波と東京波を混合させるのが一番楽だが、すると18CHと16CHが被る。
あと試しに県内親局潰し用のラインを長野波に換えてみると、県内波が全体的に異様に高くなり、これは潰し方の問題かもしれないが、そんな課題はまだ残っているが、今回は長野波は別系統として配線した。女房の部屋へシールド線を回し、車載用チュナーを置いて女房への供用開始。
 その後、長野波系統と今までの東京波系統を混ぜてみたが、長野波はことごとく消失する。やはり別系統としてチューナーに入れる。

東京波近況:大気の屈折率の変化だろうが、今年は暖冬のせいか、寒気が入らない日にはテレ朝とかNHK東京Eテレが映る事がよくあった。
理由の一番は、リッジを確定できたことが大きかったと思う。平面上の地図から立体的な山並みのあるポイントを探し当てる作業の成果だと思う。
リッジ付近の地図を得て、受信点からの目視の参考とするわけだが、リッジ付近のY軸方向の断面図を得ることをした。しかし山並みは前後にもあるから、その断面図通りとはいかないのが分かったが、しかし参考にはなる。
あとはグーグルアースでは視点を動かせるから、よりリアルな立体像を得られるかに思い、いろいろ試したが、リッジ付近の状況を知るには参考になる。しかし受信点からの目視を再現することは、アバウト過ぎて少し残念だが、ただ立体的に把握できて良い。

回析波を拾う場合は、リッジ〔回析ポイント〕をできるだけ正確に割り出すのが肝要となると思う。
いままで富士見中継局に関しては、リッジが枝葉に隠れていて目視できなかった訳で、せいぜいそっちの方か?位の程度だったのが、見て確かめる事が可能となって、数度以内程度の正確さでアンテナを向けることができたのであろう。

アンテナ切替器の製作 2024/03/05
 
ワンセグ受信には車載用のチューナーを使うこととなったが、その詳細は別の機会を設けるつもりである。ただ便利な機能としては、「ホームモード」と「お出かけモード(或いはドライブモード)」という二つのチャンネル設定ができる。
プリセットが二つあるので、長野波と東京波で使い分けられるのだ。その際必要となるのがアンテナ切替器である。
国内メーカー市販の物もあるし、アマゾンでも売っているが、割と高価であり、下手をすると飛びつき(AFの人なので昔からそういう)があるそうで、要は分離性、アイソレーションが悪い物もあるそうだ。AFでいうところのチャンネルセパレーション。。
というわけで自作することとした。設計の勘所は、一番相互の信号が隣接するSW接点部分での分離となるだろう。その点無線ならかなりごついアンテナ切換SWもあるようだが、地デジ受信用のパーツとしての市販のSWを考えると、大きめのスライドSWはどうだろうか。
小型の物では、端子間が近すぎる、スナップSWも同様だ、使ったのは36mmの大きめの二連スライドSWで、DC数A位はいけそうな物。摺動子は両側から挟み込むタイプ。
余り物で工作、t3mmAl材、横に材はない(空いている)

あとの創意工夫は、通常は中点から出すところを中点は入力として、二連をそれぞれの入力に振り分けてある(結果的には大差はないのだが)。
また分配器から来る信号となるので、空いた入力端子には75Ωのダミーロード抵抗が入るようにしてある。出力はチューナーのGT13コネクタが付いた直出しシールド線である。二連の間にシールドを設けるかとかシールド線で配線するとか迷ったが、してはいなくても実用となったのでご報告である。極力インダクタンスを作らないように配線するのが慣用だろうが、それができているかは分からない。
その後の話:使ってみると長野波18CHのabn長野朝日放送がやはり低い、アンテナの段階でのTVKからの干渉によるだけではなく、切替SWでも同様だ、完全に潰される。パナのレベルでは長野波は20位、TVKは60なので、少なくとも20dB以上の差はあると思う。特に東京波から長野波への干渉が大きく、SWを長野側に切り替えても東京波が混入する。
その後、回路を変更し、シールド板挿入、二連のスライドSW内の真ん中にシールドを入れたり、独立の出力にしたりとして、かなり改善はしたけど、完璧ではなかった。
配線前
その後、アンテナ切替SWUも作り、車載チューナーのアンテナ入力1と2に繋げたが、今度はチューナーのアンテナ入力のところで干渉するようで、バイパスCを0.01から0.001μF に変更したり、シールドを増設したりしたが、やはりダメであった。どうせならSWを挟まずに、東京波と長野波を各々の入力に入れてみたら、意外にも何とかなりそうであった。ホームモードとお出かけモードの切替だけで、受信も出来そうだったが、やはりCH16とCH18が被っているから、TVKのレベルが低下したり、東京MXが映らなくなったのでやはりダメであった。
残るSWは複数段のロータリーSWも考えたが、コモンの摺動子と接点の距離が短くてダメだろう、理科の実験で使う昔のナイフSWならOKだが、今時そんなものあるのかな。作るか?今でも販売している様である。

ワンセグ受信用の車載用チューナーの使用感比較 2024/03/20

試した機種はパナがDTV-20とDTV-60、パイオニアがGEX-700DTVである。いずれも2×2というらしい、意味は2アンテナ2チューナーの意味だそうだが、2チューナーというのはいかがか。両者とも2010年頃の昔の製品。
初期のDTV-20を除いて、比較をしたいと思う。DTV-20は消費電力が多く、ファンがあるのが残念で、まだ缶チューナー(正確にはフロントエンド+OFDM復調器)であり、シリコンフロントエンドではない。また僅かにうるさいのが欠点。利点はアンテナ入力にDC重畳はなく、F柱なのは使いやすい。またパナはDTV-40以前は専用の特殊なコネクターによりすべての配線がまかなわれ、ピンアサインも不明ないので、汎用性はない。
 また実際の視聴にて、ワンセグでの画質の優劣は、チューナーではなく、放送局での変調や元ビデオデータの品質の方が支配的な気はする。何故か東京MXはかなり悪い。


機種
GEX-700DTV パイオニア TU DTV-60 パナ
消費電力/待機電力 5W/0.15W
 2線配線
6.5W/不明
 3線配線
受信レベル表示 メニューから、数値表示 初期設定段階のホームモードでのみ、数値表示されるが、以降には簡単な棒立ち表示しかされない
感度 普通
ユニデンからのOEM?
 [優秀なメーカーは噂では、アルプス(アルパイン)、フロントエンドでは名実とも老舗。]
パイオニアより良さそうな感触、受信レベルの安定性は良好
リモコン テレビサイズで使いやすい 薄くて小さい
DTV-20のリモコンは大きく使いやすく、受光器ともDTV-60でも使用できる
通電確認 本体にパイロットランプがないので、ONだかOFFだか分からない リモコン受光器と本体にもランプはあり、わかりやすい
画質 両者ともHDMIはなくAV出力で、フルセグの画質はTVより落ちる。似たり寄ったり。
ワンセグの画質に大きな差は感じられない
設定と機能 普通に欲しい機能があり、いいと感じる チャンネルキーの割り当ては、初期設定段階のホームモードでのみ
で、お出かけモードでも不可にして不便。
機能設定内容が少ない。
アンテナコネクター
統一規格はない
GT13 VR1
出力など本体側面の端子の配置 問題ない リモコンのミニジャックの位置が悪い
両者とも注意点 アンテナ入力にはプリアンプ用の給電、8Vが重畳されている、どれもRL220Ωの一石アンプ
ショートしても保護回路が働き、警告が表示され不可逆に壊れる心配はないが、地デジアンテナを直結することは危険であり、DC的な配慮は必要。Cを挟むとか、ブースター(プリアンプ)と電源(パワーインジェクター)をかませて入力すれば大丈夫。
テレビのチューナーより高感度ということはない、明らかに落ちる。アンテナ2本や4本にして意味がある模様。
ワンセグ時、データ放送に対応できていないのは残念、大きい割に携帯以下ということ。
また両者とも古い機種なので、ワンセグ受信のみなら最新のワンセグ専用チューナーの方が感度は高いのではないか。


アンテナ切替器の購入 2024/03/30 長野波と東京、神奈川波の切替
 
アマゾンで、ANK-2Vという型式のアンテナ切替器を発見し、購入した。構造はスライドSWで、接点間の間隔(クリアランス)は14mmもあり、使ってみると物理CH18の混信も自作よりは格段に少なくなかなかいけそうである。分解すると接点や摺動子にはベリリウム銅は使われてはいなく、ひどくチープな造りである。配線をし直した。接点の真鍮板はシールされていないので、ハンダ付けするとフラックスが流れてしまうのだろう。摺動子は汚れていたので、綺麗に磨いた。よってフラックスは使わない方が良さそうだ。
 ただ厳密には物理CH18の混信は皆無ではない、レベル差が大きいのでそれは仕方ないとは思えるが、アイソレーションが完璧とはいえないので、シールドを増設したら実用上は問題なくなった。
初めは、F柱ピン周辺をターゲットに施し区分けして、次にSWの摺動子裏側に増やしたが、この銅板が効いているような気がする。
区切らなくても、SW裏面全面を覆うだけでも良い気がする、下記のもう一つはそのようにしてみた。
より厳重にシールドをしたもうひとつの切替器、長野波18CHの受信レベルは、片方に強い神奈川波18CH(受信レベル60)であるTVKの干渉により、11が10に落ちる。何dBとれているかは分からないが、なかなか完璧なアイソレーション実現はシールドのみでは難しく、この辺が限界かもしれないが、東京波の方に15dBアッテネーターを挟むと干渉は無くなった。
開けるには、薄い裏蓋はコンコンと下向きに板にでもたたけば、落ちる。


黄砂の影響か 2024/04/19
 3月にもあったことだが、黄砂が襲来した夜より東京波がかなり低くなる事があった。TVKには多少の影響で、フルセグ受信に問題はないが、その他の東京波は受信レベルが低くなり、今回は県内波も低くなった。
黄砂飛来による受信障害ってあまり話題にならないが、今回も同様なので多分そうではないかと考えている。しかし富士見中継局からの長野波に関しては影響は感じられないのは、見通し線は地形が下りとなり、伝播経路が低いところにあるためであろうか。以上たいしたことではないが・・。

アンテナ切替器Vの製作 2024/04/25
「ボクにもわかる地上デジタル - 地デジ設計編 - アンテナ部品.htm国野亘氏」と「電子回路I−高周波回路入門−国立研究開発法人産業技術総合研究所
株式会社光パスコミュニケーションズ 松浦裕之氏 200204_matsuura.pdf」を参考資料として勉強させてもらいました。ありがとうございました。
車載用チューナーのインピーダンスが50Ωであることは述べたが、インピーダンスを75Ωから50Ωに整合したら、気のせいか感度が良くなった気がした。
フィルター型なので、fcで整合やリターンロスが最良となるが、ある程度の帯域は確保できるようだ。
ハイバンドで使うならfcを680MHz(ω=2πfc)近辺にするとか、スカイツリーでは500MHzにしても良いと思う。どちらかというと現物のCの容量があるかないか次第となりそうではある。
 設計はこの程度の素子数なので複素インピーダンス式から下記のように得た。回路的にはrが大きい(Qが低い)LCR並列共振ともとれる。
要点は、矢印以降のLCR回路のインピーダンスがfcにてrになること、そのとき虚数パートが0になることを条件としてCとLの値を得る。
任意のインピーダンスにて算出できるようにしてあるが、r0>rなのは式が成り立たたなくなる理由からであり、逆に低いインピーダンスから高いインピーダンスに整合するには、入力と出力を入れ換えれば良い筈。
確かめるのに、試しにスミスチャートを使ってみたが、「QuickSmith https://quicksmith.online/」というオンラインソフトウェアが使い勝手は良かった。使い方は「スミスチャートとは|EMC村の民.htm」にてご教授いただいた(大変わかりやすく)、感謝申し上げます。

それに従い、下記のように東京波にATTを入れた"アンテナ切替器V”となった、ただ物理CH18の干渉は無視できるがまだ皆無ではないようだ。
裏山の木の葉が繁茂し、既に荒倉山のリッジは望めない。その為か長野波物理CH18受信レベルは、12位から現在9とか10に落ち、8まで落ちると受信できなくなる。一方、東京波よりテレ朝はフルセグでの視聴が出来るようにはなったのだが。

次はLPF型インピーダンス整合回路である。これはスタックしたアンテナの混合器として製作した。アンプの電源が重畳されるからLPF型となる。
地デジアンテナ+前置アンプ(U20-L3C)のr0'75Ωがパラレルとなるので、r0:37.5Ωとなり、それをr:75Ωに整合させる。が複素インピーダンス式が複雑になるのを避けるため(才覚がないので)、インダクターまでをパラレルにしたのを一つとして扱っている。よって各々に入れるL'は得られた値を(jωL*2にて)2倍にすれば良い。
先述の通り各々に入れるL'の値は、11.9*2 23.8nHである。Cは勿論そのまま4.25pFだから、4pF。
以前、今までのアンテナ位置に、この回路の混合器を試用してみたが、マスプロのミキサーMIXUDより幾分落ちる。
それは多分、私が変態スタックをしていること、混合した時の位相差が異なることからだとは推測でき、相互のダイポールの位置など追い込む余地はあるような気もする。理論的にはトランス式より損失は少ないのだが、考えてみるとアンプがあるので損失自体はあまり関係はない。
ただ気になることは、普通のトランス式の2混合器は、各入力が逆相で入るようで気がかりなのだが。

パナソニック車載用チューナー内部比較 2024/06/01


2007年製DTV-20-2 2X2、缶フロントエンド、感度はシリコンと同じくらい。B-CASカードは大きい、消費電力は11W、冷却用のファンがある。見えにくいかもしれないが左上の2つの大きめのケミコンは松下製ではなくルビコンである。
2011年製DTV-60 中央上の銀色のがシリコンフロントエンド+OFDM復調で2CH分、4CHにするにはもうひとつを空いているパターンに載せると思われ、そうするとDTV-60と4X4のDTX-600とは、コスト的にはそう変わらないのではないか。

DTV-60は2010年に登場するから、DTV-20からの進化は僅か3年間でこれだけある事に驚く、ICを作る人や回路設計の人たちはさぞ大変だったろうなと・・、
しかし松下は2013年末に、「MN88541」というは、フロントエンドと OFDM復調回路を4CHと誤り訂正用メモリなどを1チップにした地上デジタル放送受信フロントエンドLSIを発表している。日進月歩だな、製品は何にあたるのかな。

こちらはパイオニアのGEX-700DTV、コムテックのOEM、こちらももうひとつフロントエンドのチップを載せれば4X4になるのだろう。またいずれの機器も回路は5V動作であり、SWレギュレーターがある。パナに17〜18V入れると保護回路が働くようでONしない、しかし14.4Vでは動作するはずである。 唯思うのだけど、SWレギュレーターなので24V車までの対応は難しいものではない気もするが。

フィルムアンテナプリアンプを調べる 2024/06/12

とある車載フィルムアンテナのプリアンプ、巾6.5mm長さ36mm

これは、SMAコネクター欲しさに入手して、おまけに付いていたもの。妙に4本足だったので、調べてみると地デジUHF帯ではNF1dB以下のなかなかローノイズなTRであることが判明以下データからの引用。

BFP420
Surface mount wideband silicon NPN RF bipolar transistor
Minimum noise figure NFmin = 1.1 dB at 1.8 GHz, 2 V, 5 mA
High gain Gms = 21 dB at 1.8 GHz, 2 V, 20 mA
             Infineon-BFP420-DS-v02_00-EN.pdfより

最低限シンプルな回路、入出力にインピーダンス整合回路はない。他のプリアンプではあるようだ。いわゆるCB帰還バイアス回路で、DC的にもAC的にも負帰還となるから(S<1)熱に対する安定性は良い、AFでは入力インピーダンスが低くなるので注意するが、RFではあまり関係はないかもしれない。
さてRbが一桁低すぎないかと思ったが、以下に動作点を推測すると、TRの絶対最大定格から推測して、Vccは5Vとして、RL150Ωの青のロードラインの
あたりにある模様。
推測される動作点 Ic23mA、Vce1.6V、Ib0.25mA
スペック表の、ゲイン優先の20mA程で使っている、NF優先なら5mA程でこのTRは使うらしい。
 これを改造して、NF優先でIcは5mA前後として、RL値は変更無しなら、Vccは3V位に下げる必要あり、それがピンクのロードラインと動作点。
特徴としてこのTRはVbeが高めである、0.6Vという定石は通用しないので、以下にRb(RFの方が適切か)の求め方を考察してみた。、

回路設計に必要となるVbeを得る、VbeとIcのグラフ。
Icがログスケールで直線的であるから、試しに定量化してみよう。Icの範囲は実用される1〜40mAとする。また低歪率ということか。或いは、ダイナミックレンジが広いので、逆ログアンプなどの測定器にも応用できそう。
 さて容易にするために、Ic1mA、Vbe0.8Vを基準とすると
Ic(mA)=10↑[16(Vbe-0.8)]が得られ、次にVbeを得る式は
Vbe(V) = [log Ic(mA)+12.8]/16 -@式
次に、設計に必要となるIbを得る、VbeとIbのグラフ
これもログスケールで直線的であるから、定量化してみよう。Vbeの範囲は実用される0.8〜0.9Vとする。これも同様に、Ib0.01mA、Vbe0.8Vを基準とすると(両者とも現物のhfeのばらつきは考慮する必要あり) ただ少し考えると、この図は先の図のIcをhfeで割ったものである。だから下方で緩くなるのであろう。そして、Ibを得るにはIcをhfeで割れば済むことではある。hfeは代表値で100位であるから、2桁小さい。。
Ib(mA)=10↑[17(Vbe-0.8)-2] -A式

ピンクの動作点 Ic7mAだと、@式よりVbeは0.853Vを得る、次にA式よりIb 0.0794mAを得る。
Vceは2Vで、IbによるRLの電圧降下分を無視すると、Rbは(2-0.853)/0.0794、14.5kΩを得る。 
さて、DC的な話はこれでよいかもしれないが、肝腎のAC的な話は未解決であり、このTRのSパラメーターはデータシートからはよく分からないが、オリジナル回路では、アンプ基盤に極めて隣接しているアンテナにもかかわらず発振もせず、動作に問題ないということは分かる。

ただし上記、Figure 16には’ Source impedance for minimum noise figure ZS,opt = f(f), VCE = 2 V, IC = 5 / 20 mA’がある。
このTRの意図としては、地デジUHF帯での応用では、インピーダンスが50ΩならIc20mA近辺、75Ωなら5mA近辺でいけますよって感じにもとれる。
 その際、堅いことを言わなければ入出力のインピーダンス整合は省けますって。
よってRbの2.7kΩは意味があるようで、低い周波数でのk値を上げるためか?
回路定数を変更せずにVccを3.3Vに下げると以下の動作点となる。13mA、1.3V位。


ULX30のたわみ PartU  2024/11/30

以前ULX30のたわみを、葡萄棚方式で吊って解決することを話したが、ステー(支持ブーム)の曲がりを直したわけではなかった。
今回は全面的解決、ステーの曲がりを直そうという企画である。
 ステーのみ外してみると、下記の写真のように、マスト取り付け金具のところで大いに曲がっているのが解る、ステーの強度不足との指摘はしたが、正にその通りである。メーカーを攻めるつもりはないが、ベタ雪がエレメントにどっさり積もったりすればかなりの重さなので、対策は必要と思う。そして一度曲がれば、自然に元に戻ることない。

横から見ても曲がっている
直し方については、いろいろ思案したが、やってみるといとも簡単にできた。
いちばん簡単な方法として、ステーのマスト取り付け金具を外して、床に置き、マスト取り付け金具の位置を足で踏んで固定し、両端を垂直に立てて、両端(曲げの部分)を持ち上げることをしたら、容易に直すことができた。そう力が要らなかったのは、力点間の長さがあった為と推測できる(いわゆるテコの原理)。逆をいえば重みでアンテナの両端は落ちやすいのだ。ちなみにULX20では、ステーの強度は足りているようで、たるむことはない。
修正後、先端方向を望む
 上からの吊り方と、下からのステーによる支えに関しての図面を拙いものですが書いたので、参考にと張ります。
工作の要点は、マスト取り付け金具の中心をセンターとします。上より吊るには1.6φのステンレス線を使っていましたが、作業のし易さから1.2-1.4φでも良いと思います。ただどっさり雪が乗ったら伸びないか少し不安ですが。線はブームに巻き付けます、上はマストステーリングを使います。角度はマストから45°程を基準としましたが、厳密なものではありませんので、各自の都合で良いと思います。
次にステー(支持ブーム)を下から、昔のアンテナのように支持するには、私は以前使っていた大きめのマスプロ製アンテナのステーを流用しました。図面ではステーLの方になります。
ステー(支持ブーム)の位置は(図面黒丸、取り付け金具の締める側)、センターから両脇、615mmが良いでしょう。ステー(支持ブーム)には5mmドリルで穴を空け、6mmのタップでねじ切り、6mmSUSネジで取り付けます。ステーの代用には、L型アルミ材、20×15。2t、あるいはより大きく丈夫なもので良いと思います。受ける方はねじ切られたU字金具とアルミ板にて自作もできようかと思います。
下からのステーを追加すると、いままで不安定に横に上下にと揺れ動いた反射器がしっかりと止まるようになり、効果は絶大です。水平方向にもある程度の効きがあります。


アンテナ切替器のその後 2024/11/30

苦労が多かったアンテナ切替器だが、アンテナ切替器Vにて最終的な決着をえたに見えたが、さもあらず、長野波は良いが、東京波のMXとかチバテレビの弱小電波が潰されることが判明、長野波のコネクタシールドを外すと、映るのだからやはり何らかの干渉か?
 結論としては、必要なセパレーションを得るのに、切替器のスライドスイッチのクリアランス(接点の間隔)では充分でない、だからSWがダメ。とすれば、空き箱しか残らない。
・・・がF柱は使えるので、SWを外して、2つの出力にはテストピン受けを表に出るように設け、2mmφだからそのピンをシールドで入力から出して、手動抜き差し法を考案した。
ついでに、75→50Ωインピーダンス変換回路もあまり意味があるようには思えないので止めた。 使ってみるとMXもチバテレも潰されることはなかった。

銅の2mmφピンは電灯線の導線から作った